2006年07月05日

アップルストアのエレベータから学ぶ良いデザインの原則

少し前の話になるのだが、実は「アップルストア銀座」のエレベータでとても困ってしまった経験がある。

ここのエレベータはガラス張りでアップルらしい、おしゃれなデザインになっている。初めてこのエレベータに乗り込んだとき、綺麗な女性の方と二人になったのだが(これはうれしいことだが)、お互いに慌ててしまった。

エレベータの操作パネルに、ボタンが一つしかないのである。

ふつうなら、開閉ボタンと行き先の階のボタンがあるはずなのにと戸惑いながら、一つしかないボタンを何度押してみても何も起きない。さらに、いつまでたってもエレベータの戸は閉まらない。
一緒に乗り込んだ女性の方も、ボタンを押したり、他のところに何かないか探したりしているようだったが、こちらと目があってお互い苦笑いしてしまった。

たねを明かせば、このエレベータは各フロアごとに自動停止、自動運行を繰り返すもので、ただ一つのボタンの役目は「開ボタン」だったのである。

このようなユーザビリティの問題を認知心理学、認知科学から説明しているのが、「誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論」である。

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誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論
ドナルド・A. ノーマン 野島 久雄

人が何かを見たときには、見た目からの解釈と過去の経験などから、どうやって使うのか、どう動くものなのか、というモデルが作られる。これはメンタルモデルと呼ばれるものだ。そして、このメンタルモデルを分かりやすく形成することができれば、使いやすいということになる。

簡単に言えば、見た目からできることがすべて想像でき、操作方法とその表示が自然に対応づけられていればいいということだ。

この本の中では、よいデザインにするために守るべき4つの原則が説明されている。

可視性

目でみることによって、ユーザは装置の状態とそこでどんな行為をとりうるかを知ることができる。

よい概念モデル

デザイナーは、ユーザにとってのよい概念モデルを提供すること。

よい対応づけ

行為と結果、操作とその効果、システムの状態と目に見えるものの間の対応関係を確定することができること。

フィードバック

ユーザは、行為の結果に関する完全なフィードバックを常に受け取ることができる。


冒頭に書いたアップルストアのエレベータは、可視性、よい概念モデル、よいマッピング、フィードバックのすべてに反した例になっているのが分かる。
また、エレベータのように一般的に普及しているものは、すでにユーザの中にメンタルモデルが出来上がっていることが多い。そのメンタルモデルとアップルストアのエレベータの概念モデルの違いも原因の一つになるだろう。

周りを見渡してみても、使いにくいものというのはたくさんある。あなたが物を作る立場の人なら、この原則にしたがって見直してみてほしい。
posted by cuckoo at 21:01 | Comment(0) | TrackBack(1) | 書籍・雑誌
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